走塁用グローブ
塁に出たとき、ケガ防止などのために、選手は必ずグローブをはめる。鈴木さんは2007年ごろから、ジャイアンツカラーのオレンジ色のグローブを使っていた。「あのオレンジのグローブ、なんだろう?」と目を留めてもらい、認知度を上げるのが狙いだ。「代走のプロ・鈴木」の名前が知られてくると、このグローブには“相手ピッチャーに威圧感を与える”という役割も加わった。このグローブがベンチにチラつくと、「鈴木が代走で出てくるな」と相手チームに緊張感が走るようになったのだ。験(げん)をかついで、盗塁が成功している間は同じグローブを使い続けた。現役最後のころはほとんどアウトにならなかったため、使い続けてボロボロになったのがこのグローブ。盗塁成功への布石ともなった、鈴木さんの勝負への執念が詰まった逸品だ。
鈴木 尚広(すずき たかひろ)元・プロ野球選手/スポーツコメンテーター
1978年福島県相馬市生まれ。県立相馬高校卒業後、97年にドラフト4位で読売ジャイアンツに入団。1年目に3度骨折するも、自腹でパーソナルトレーナーをつけて体を整えることから始め、足の速さを活かして1軍で代走のポジションを確立。2008年ゴールデングラブ賞(外野手部門)と日本シリーズ優秀選手賞受賞。「神の足」「代走のスペシャリスト」の異名を持ち、通算盗塁成功率は82.9%で日本プロ野球歴代1位(通算盗塁200以上)。通算盗塁数228は球団史上3位。プロ野球生活20年間の中で通算1130試合に出場し、打率2.65、本塁打20、打点75。16年に38歳で引退し、現在は解説者としてテレビ中継などで活躍するほか、全国で小中学生に野球を教える活動などにも携わっている。著書に『一瞬に賭ける生き方』『Be Ready〜準備は自分を裏切らない〜』
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