10月15日から、コンビニやスーパーには緑のふたが目をひくヨーグルトが並び始めた。
ミドリムシ入りの「ユーグレナ&ヨーグルト」だ。
食料、環境、エネルギー…世界を脅かす諸問題を解決する切り札として
「ミドリムシ」を掲げ、急成長を遂げている株式会社ユーグレナ。
ミドリムシって虫じゃないの!?
そもそも、どうしてミドリムシに注目したの??
たくさんの「?」を解決すべく、
株式会社ユーグレナ・経営戦略部で広報を担当する安間美央さんを訪ねた。
株式会社ユーグレナ
ミドリムシ(学名:ユーグレナ)を中心とした微細藻類に関する研究開発及び商品開発、販売などを事業の柱とする。創業社長である出雲充氏が世界の食料問題、環境問題の新たな解決法として、ミドリムシの可能性に着目。世界初のミドリムシの屋外大量培養に成功し、2005年の創業後、2012年に東証マザーズに上場。東大発バイオベンチャーの雄として、各方面から注目されている。
笑顔がステキな広報担当の安間さん
動物性・植物性の栄養素を併せ持つ夢
ミドリムシ(学名・ユーグレナ)と聞けば、誰もが中学時代に理科で学んだ緑色の生き物を思い浮かべるはず。5億年以上前に地球に誕生したこの生物は、体内に葉緑素を備えていて光合成を行い植物性栄養素を作り出すと同時に、自ら動く性質も持っていて動物性の栄養素を作ることもできる「藻」の仲間だ。
このミドリムシの研究開発、生産、関連食品の製造販売などを行っているのが株式会社ユーグレナだ。オフィスを訪ねると、受付ではビーカーに入ったミドリムシが出迎えてくれ、壁には「ミドリムシが地球を救う」の文字が躍り、壮大な夢を抱く企業ならではのワクワク感が伝わってくる。
「ミドリムシは0.05mmという目に見えない大きさながらビタミン、ミネラル、アミノ酸など59種類の栄養素を含む夢のような藻の一種。また、ミドリムシから抽出する油はジェット燃料にも適していると分かり、現在、飛行機の燃料として使うための研究を行っています」と、安間美央さんは語る。
中学時代から世界の食料問題に思いを馳せてきたユーグレナの創始者・出雲充さんが、ミドリムシの存在を知ったのは大学3年のときだ。農学部の友人からミドリムシの話を聞き、「食料問題を救うのはこれだ!」と気づいて心酔。しかし、そこから実用化までには、長い苦難の道のりを歩むことに…。
これがミドリムシだ!
屋外大量培養の目処が立たないうちに創業
「ミドリムシが豊富な栄養をもつことは以前から知られていて、日本でも国家プロジェクトとして大量培養を研究していたにも関わらず、計画は頓挫してしまいました。というのも、ミドリムシは食物連鎖の最下層に位置するため、無菌の研究室で培養しないと他の微生物に食べつくされてしまう。研究室でミドリムシを1か月に耳かき一杯分しか培養できない状態でした」。
出雲氏は大手都市銀行に就職し、「ミドリムシの培養に成功して35歳で独立する」と決めていたが、起業について相談した先輩から「やりたいことを先延ばししているのは、結局やらないってことだよ」とのアドバイスをもらい、退路を断って独立することを決めたという。入社してわずか1年、弱冠23歳の時のことだ。
そうして知人の仕事を手伝いながら友人と共にミドリムシの研究を続けていた2005年に、地球温暖化問題への関心の高まりにも背中を押され、培養の目処が立たないまま、株式会社ユーグレナを創業した。
研究に研究を重ね…どうなる!